スペシャルインタビュー
アニメスペシャルインタビュー 白組 河村友宏さん Vol.1
Date:2013.08.07
高木監督に続き、今回は、アニメーション「うっかりペネロペ」の演出を担当している、河村友宏さんが登場。制作の裏側をたっぷり語っていただきました。
新シリーズから演出を担当する河村さんは、アニメーションの実際の映像を制作していく上で、仕上がりをイメージしながらキャラクターを効果的に見せる指示などをするアニメーション・ディレクターです。そんな河村さんは、子どもも大人も楽しめるところがペネロペの魅力と話してくれました。
「基本的には、子どもがメインの作品だと思いますが、子どもだけが観るというのではなく、ペネロペは家族みんなで楽しめる作品だと思います。
例えば、日本の大家族アニメが「ちびまる子ちゃん」ならば、フランス版の大家族アニメが「うっかりペネロペ」なのかなと。ちゃぶ台を囲みながら、テレビを観ているイメージです。
登場するキャラクターも、ペネロペと両親だけではなく、おじいちゃんやおばあちゃん、いとこまで......ペネロペって意外と家族が多いんですよね。
私自身、子どもの頃は祖父母と暮らしていて、家族7人暮らし。3兄弟ですし、毎日わいわいと、まさに大家族という感じでした。結婚して子どもが誕生した今は、奥さんの実家近くに住んでいるので、子どもたちは週末に泊まりに行ったりしています。昔と変わらず大家族という暮らし方なので、ペネロペを観ていると親近感がありますし、家族に囲まれている温もりも感じますね。
実は、私の子どももペネロペを観ていたんです。次男が2歳の頃のペネロペを観ているホームビデオが残っているんですよ。
その映像を見て思ったのですが......ペネロペは子ども向けのアニメーションですが、演出の仕方というか、ストーリーの展開やオチなどは、演出している大人の目線で描いていますよね。でも、子どももきちんと大人が設定したオチで笑っているんですよ。子どもたちにちゃんと伝わっているんだなと感じましたね」
2歳の頃ペネロペを観ていた息子さんは、現在小学3年生! 実は新シリーズの制作に参加したそうです。
「そうなんです。ペネロペはCGアニメなので、セリフのタイミングを教えるための仮の声収録をアフレコ(声収録)前に行います。その作業をするにあたって、次男をペネロペ役に抜擢しました。ママの声は奥さんで、パパの声は私。ストロンボリなど男の子の友達は長男が、リリーローズは義姉が担当していて、家族総出で行いました。
今までは、会社のスタッフで仮の声収録を行っていたのですが、ペネロペは子どもの声のほうがイメージしやすいと思ったので、すべてを家族の声で収録しました。スタッフからの評判もよかったです」
その声を聞かせてもらいましたが、みなさんの役になりきっていましたね!
「次男は、自分の声のペネロペが放送されると思っていたほどです(笑)。
収録しているとき、私はもちろんですが家族全員が真剣で、「ここはもっとこんな感じ」とダメ出しをしながら行っていました。そのうち、私自身も「ここのテンションはこうだよ」と、息子からダメ出しされました(笑)。
新シリーズには、ペネロペが鼻歌を歌う回があって、仮の声収録をしているときになんか適当に歌ってみてと次男にリクエストして歌ったその鼻歌を、そのまま心雪ちゃんが歌ってくれたんです。鼻歌が採用されたときは、素直に嬉しかったですね」
仲良し家族ならではのエピソードに、心が温かくなります。次回は、キャラクターを動かす作業など、アニメができるまでの過程を追いかけます。
Profile
桑沢デザイン研究所を卒業後、アニメーションや実写映画の企画・制作会社「白組」に入社。新シリーズより、「うっかりペネロペ」の演出を務めている。