スペシャルインタビュー
アニメスペシャルインタビュー 高木 淳監督 Vol.2
Date:2013.07.31
前回に引き続き、アニメーション「うっかりペネロペ」の監督を務める、高木監督が登場!
はじまったばかりの新シリーズについて、たっぷり語っていただきました。
第1シリーズから最新シリーズまですべてのシリーズの監督を務めている高木監督。作品を作るうえで心がけていることについて伺いました。
「私は、学生の頃に先生から言われた『映画は愛を描くものだ』という言葉を、今でも大切にしています。
その当時は、この言葉を理解することはできなかったのですが、今は自分なりに理解をして、すべての人間の感情は愛なのかなと。感情というか、情を描くことが大切だと思っています。
なので、ペネロペを作るうえでも、ペネロペの気持ちを大事に描くようにしています。今回は、今までよりもペネロペの心情がわかるエピソードが多いと思います。
今までのシリーズでは、泣いたり、笑ったりぐらいの感情でしたが、双子が誕生したことによって、ペネロペのスタンスというか立ち位置が、少し違って見えると思います。
自分がお姉ちゃんになったことで、ジェラシーとまではいきませんが、パパとママを妹たちにとられてしまったという、ペネロペがやきもちをやいているような、内面を少し描いています。そこは、今回の見どころともいえるかもしれません。
5分尺という限られた時間なので、こと細かく内面を描くことはしていませんが、今までは自分が一番小さくて、一番にかわいがってもらっていたという、絶対的な部分が変化するので、ペネロペは確実にお姉さんになっていますね」
最新シリーズの見どころは、ペネロペがお姉ちゃんになっていく姿。さらに、今までにないシーンがいろいろ登場するそうです。
「今までのエピソードの中だと、クリスマスやハロウィンなど、歌が登場するシーンが印象に残っているのですが、今回は、はじめて電車に乗っていたり、絵本のストーリーにもあるエコについての話も取り入れています。
今までより、メッセージ性が強いエピソードも登場するので、そこにも注目してもらいたいです」
実は、高木監督の甥っ子もペネロペのファン!
「そうですね。今は大きくなっちゃいましたが、幼少の頃はグッズをよくプレゼントしていました。ペネロペのグッズは、特に意識して作っているわけではないのだと思いますが、女の子の方が喜ぶのかなと思っていました。ですが、甥っ子にプレゼントすると素直に喜んでいたので、男の子もペネロペというキャラクターを受け入れているんだなと、そのとき感じましたね。
ペネロペには、男の子は青、女の子は赤というすみ分けがありません。コアラの女の子だけど、青色だし、ふりふりしたスカートをはいたりもしませんよね。そういうニュートラルなところが性別関係なく、子どもたちみんなに受け入れられた点なのかなと。
色彩豊かなところも子どもたちの好きなところですよね。
色使いは、原作の特徴的なところでもありますので、その色彩を生かしたいというのはアニメを作るにあたって意識した点のひとつでもあります」
大人が見ても楽しめる。ペネロペのアニメにはそういう点があるように感じます。
「基本的には、すべてペネロペの視点で描いているので、ママやパパの視点で展開されるエピソードは存在しません。ペネロペの気持ちがきちんと伝わるようにと、どんなときでも子どもであるペネロペが軸になっています。その点が、親の視点から見るとリアルな子どもの姿に映って、自分の子どもとリンクするところがあったりして、楽しんでもらえているのかもしれません。
ペネロペはフランスの郊外に住んでいて、3歳の女の子が普通に暮らしている空間でのお話なので、未来に行くとか、誰かと戦うとか、あまり突拍子もないことはできません。とてもリアティーのある作品です。そのリアルさも、ペネロペの魅力ですよね。
あと、視聴者から、ペネロペのパパとママはしからないで諭すだけ。そこがとても勉強になるという感想をいただきます。確かにしからないですよね。そこは、私自身もそうですが、制作スタッフの理想が入っているかもしれません(笑)。
高木監督いわく、「ペネロペはひと言でいうとたくましい子」。
好奇心が旺盛で、物事にとても前向き。くじけることがあっても立ち直る。そんなたくましいペネロペが、お姉さんになる姿が描かれている新シリーズは必見です。
Profile
高木 淳
日本大学芸術学部映学科を卒業後、日本アニメーションに入社。監督を務めている『うっかりペネロペ』は、2007年に第11回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門優秀賞を受賞。このほか、『七つの海のティコ』『ちびまる子ちゃん』『カルルとふしぎな塔』などを手がけている。