スペシャルインタビュー
アニメスペシャルインタビュー 高木 淳監督 Vol.1
Date:2013.07.24
アニメーション「うっかりペネロペ」の監督を、第1シリーズから最新シリーズすべてを務めている高木監督が登場!
ペネロペとの出会いから、新作アニメの見どころまでたっぷり語っていただきました。
ペネロペとの出会いは10年ほど前。絵本を見たことがはじまりだそう。はじめてみたときから、とても強い印象があるそうです。
「すでに同じ作者の作品である『リサとガスパール』の絵本は知っていました。その作者が『ペネロペ』という、新しい作品を作ったのだと教えてもらい、絵本を見たのが出会いですね。
コアラが主人公だと聞いていたのですが、この子がコアラなの!? コアラの女の子でいいんだよね!? っというのが正直な印象。キャラクターのインパクトがとても強かったのを覚えています。
この一見コアラに見えないところが、このキャラクターの魅力なのかなと。はじめて見たときから、とにかくいろんな魅力を感じるキャラクターだったことは間違いありません」
フランスでの生活がベースとなって、ストーリーが展開されている作品ですが、それを日本でアニメーション展開するのは難しい点があったように想像します。実際はどうだったのでしょうか。
「どんなアニメを作るうえでも、視聴者にわかりやすくというのがベースにあります。
特にペネロペはプレスクール対象ということだったので、小さい子たちに私たちが伝えたいことがしっかり伝わるようにというのは、常に心がけています。そのうえで楽しんでもらえたらいいのかなと。
複雑なテクニックを使ったとしても、小さい子には伝わらない。いかにわかりやすく伝えるかというのが大切なので、映像はシンプルでニュートラルです。奇をてらった演出は行わず、ストレートに作っているので、特にフランスの作品だから難しいということはありません。日本の子どもたちに向けての作品ですので、フランスの文化を意識しすぎるのはよくないとも感じていました。
ただ、第1シリーズを制作していた初期の頃は、文化の違いを感じるところはありましたね。
例えば、ペネロペといつも一緒にいるドゥドゥ。この存在をどのように扱えばいいのかは難しかったですね。フランスの子どもには当たり前であるドゥドゥですが、日本ではなじみがない。日本の子どもでもわかるように、ままごとなどの"ごっこ遊び"にも使うようなお気に入りの人形という位置づけで考えていたら、作者からそうではないと言われました。
それまでは、書面を通して、フランスに住んでいる作者とやりとりをしていたのですが、これではなかなか解決しないぞと感じて、直接お会いして話をするため、フランスに会いに行きました。
直接お会いすることで、書面では伝わりきらなかった部分も、伝えることができて、ドゥドゥをはじめ、さまざまな疑問がクリアになりました。
結局、ドゥドゥとは、寝るときも遊びに行くときも一緒にいる、とても大切な存在自体のこと。その存在を日本語では表現する言葉がなかったので、アニメのなかでもドゥドゥとしています」
新シリーズでは、ついにペネロペがお姉ちゃんになります。そのことで、いままでは違ったペネロペの一面が垣間見られるそうです。
次回は新シリーズについての監督の想いを伺います。
Profile
高木 淳
日 本大学芸術学部映学科を卒業後、日本アニメーションに入社。監督を務めている『うっかりペネロペ』は、2007年に第11回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門優秀賞を受賞。このほか、『七つの海のティコ』『ちびまる子ちゃん』『カルルとふしぎな塔』などを手がけている。