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フレンチスタイル

「ワーキングウーマン」Vol.1

Date:2012.09.18

 フランスは共働きが多い国。では、いったいどんな働き方をしているのでしょうか!? 人気の職種や働く環境を探りながら、働く姿を追いかけます。


カジュアルに参加するのがフランス流!

 「仕事を辞めて家庭に入る」という考えの女性は、フランスにはほとんどいないそうです。事実婚カップルも多いですし、結婚をして子どもを授かっても、もしかしたら別れてしまう可能性もありますよね。もし別れた場合、フランスでは子どもに対しての責任は父親母親のふたりにあると考えられているので、養育費は平等に払うことが決められています。そのようなことから、結婚、出産後もフルタイム勤務は一般的なことで、シングルマザーも国の制度を上手に利用し、キャリアと子育てを両立しています。
 では、いったいどのように働いているのでしょうか!?

 まずは人気の職種から見ていきましょう。


バカンスに入るとオフィスはお休みに入りますが、旅行代理店で働く女性たちは稼ぎ時!バリバリと仕事をしています。

 フランスで人気が高いのは......栄養士、幼稚園教諭、ベビーシッター・家政婦、看護師、秘書、医療アシスタント、看護助手、美容師、エステティシャンなど。

 日本でも人気の高い医療や美容系の職種が人気のようです。そのなかでも、あまりなじみがないのは「ベビーシッター」と「家政婦」。家政婦の姿を描いたドラマ『家政婦のミタ』が大ヒットしたのは記憶に新しいところですが、日本家庭で家政婦がいることはポピュラーではないですよね。ですが、フランスではベビーシッターも家政婦も珍しくはない職業のようです。

 ただ、ひとつの家庭でフルタイム勤務することはフランスでも稀なことで、部屋の掃除やアイロンがけなどの家事を1日2時間程度なのだそう。

 夫婦ふたりで出かけるときは、両親よりもベビーシッターに預けることが多いぐらいですから、この2種が人気の職種に入ってくることも納得ですね。

 また大学生とグランゼコール(大学と並立する高等教育機関。「教育システムの違いVol.2参照」)の学生たちに人気なのは......「ルイ・ヴィトン」や「ディオール」などを傘下に持つアパレル会社「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)や日本でも人気が高いコスメブランド「L'OREAL PARIS(ロレアル・パリ)」、「AIR FRANCE(エールフランス)」。そして、テレビ局、宇宙航空、水道、環境、原子力などの半国営化のエネルギー関連会社など、大手企業や半国営化企業の名前が挙がっているのが印象的。

 パリコレクションが行われ、全世界のファッション通が集まる国にもかかわらず、デザイナーやスタイリスト、フォトグラファーなどのクリエイティブな職種が入ってこないのはとても意外な感じが......。

 どうやら、深刻な失業率と関係があるようです。

 フランスの失業率は日本以上に高く10%を超え、25歳以下の若年層でみると23%とほかの年代に比べるともっとも高い数値なのです。

 この失業率には企業の不況のあおりを受けているところもありますが、もうひとつ理由があります。それは、正社員雇用の法的規制が厳しいこと。フランス企業は社会保障などの福利厚生が手厚いため、正社員雇用となると企業側の負担がかなり大きくなるのです。

 フランスの主な雇用形態は下記のふたつ。

 無期限雇用契約(contrat à durée indéterminée。通称CDI)。労働対象者は16歳以上で、就業規則が法律に守られているので突然の解雇はなし! 日本の正社員に近い契約です。

 そして、もうひとつは期限付き雇用契約(contrat à durée déterminée。通称CDD)。労働対象者は16歳以上で、契約期間は最大18ヶ月で更新は1回まで。しかも突然の解雇もありうる内容で、日本の契約社員に近いかもしれません。

 またCDDは残業も厳しく監督されます。なぜならば、週35時間、年間1600時間の労働を基本と考え、それを超えた場合......週当たり8時間未満の超過勤務時間なら25%を、週当たり8時間を超える超過勤務時間なら50%を超過勤務手当てとして企業が支払わなければならないからです。

 したがって、柔軟度の高いCDDを提示してくる企業が多いのが現実。

 フランスでの労働は、週35時間労働と法律で決まっているため残業はなく、残業をすると企業側も経費が高くつくため、残業が認められることもほとんどありません。どうしても忙しくて就業時間を超えてしまうときは、落ち着いたときに休みを取って就業時間を調整したりします。緊急の用事で電話をかけても担当者不在や1日中外でミーティング(という名のお休み)ですと言われることもあるんですよ。
ちなみにフランスの有給は年に5週間認められています。そして、消化し切れなかった有給は年度末に給与として還元されるそうです。国によって就業スタイルもいろいろありますね。



ランチタイムになるとカフェはすぐ満席に。フランスのお昼休憩は13~14時。支払いはもちろんレストランチケットで!

 さらに、給料のほかに「レストランチケット」が支給されるそうです。レストランチケットとは食事券のことで、50~60%を会社が負担し、残りは給料から天引き。金額によって内容は異なりますが、10€(約1000円)前後の食事券が多いそうです。フランス女性の大半はこの制度を利用しているため、お弁当を持参するということはあまりないそうです。お手製のサンドイッチを持参する人が稀にいますが、食べるのはオフィス外。日本で働く女性にはお弁当を持参する人もいますが、フランスでは珍しいことのようです。

 このような制度があるのも、手取り額が少ないからという理由も。


おしゃれな創作サンドイッチがパリで人気の『Lina's beautiful sandwich(リナズ・ビューティフル・サンドイッチ』。HP(↑写真をクリックするとHPに移動します)にはおいしそうなサンドイッチがたくさん!

 平均月収は2000€ほど。日本円にすると......約20万円。キャリアを積んだ30代でも、このような額は当たり前のことなのだとか。その代わりに「レストランチケット」をはじめ、社会保障が充実。フランスのボーナスは日本ほど大規模なことではなく、バカンス手当てという形で支給されるそうです。

 給料が少なくて、福利厚生が手厚い。それがフランス女性のお金の事情です。
 
 働く環境についてお話しましたが、次回は気になるファッションについてお伝えいたします。モードの国フランスでは、どのようなスタイルで働いているのでしょうか!? 次回をお楽しみに♪