ママパパライフ
教育システムの違い Vol.1
Date:2012.09.04
2000年から続くフランスのベビーブーム。その背景には充実した育児環境があります。今回の「ママパパライフ」では、その育児環境の日本とフランスの違いにスポット当てます。
前回の「フランス流のイクメン!」で、今もベビーブームが続いているというお話をしましたが、なぜフランスではこんなにも長くベビーブームが続いているのでしょうか!? その背景には、きちんと整えられた教育環境がありました。
はじめに、フランスの教育システムの全体的な流れをお伝えします。
義務教育前に通うのは、「Ecole Maternelle(エコール・マテルネル)」という保育学校、もしくは小学校付設の幼児学級です。日本でいうところの幼稚園や保育園。3~5歳児が対象になっています。
その後、6~11歳までが初等教育(小学校)、11~15歳までが中等教育前期(中学校)、16~18歳までが中等教育後期(高校)。この期間が義務教育にあたり、日本では6-3-3年制ですが、フランスは5-4-3年制がとられています。
幼稚園・保育園に通い、小学校→中学校→高校→大学と進んでいくのは、フランスも日本と同じシステムです。
それでは、それぞれの機関についてお話をしていきます。まずは、保育学校である「エコール・マテルネル」。
「エコール・マテルネル」は、保育所・託児所と小学校の中間に位置する教育機関です。【Ecole(エコール)】は学校という意味があるので、幼稚園ではありますが教育制度のはじまりと考えているフランスでは、きちんと学習時間も設けられているのです。
3歳になった子ども全員に幼稚園に通う権利があると考えられていますので、多くの子どもは3歳から幼稚園に通いはじめます。驚くことに、3~5歳児の就学率はほぼ100%! 幼児教育の普及率がとても高いのが特徴的です。高い普及率を誇る理由のひとつが、公立ならば授業料が無料という点です。ですので、幼稚園受験はなく、ほとんどの子どもが公立の幼稚園に入園するそうです。
通常は3歳からですが、空き状況によっては2歳からの受け入れも可能だそうです。保育所などは、公立であれば生後3ヶ月から入園できるところもあるといいます。12歳までは学童保育も受けられますので、そこに預ける親も多いのだとか。学童保育の保育料は、収入によって決まるそうで、収入が少ない家庭は無料になる場合も。
日本ではよく耳にする"待機児童"。保育システムがとても充実しているフランスには存在しないそうです。そして、自立を重んじる国であるフランスは、公立保育所以外にも認可保育などのシステムもしっかりしています。日本では祖父母に子供を預けるということがよくありますが、フランスでは非常に稀なケースなのです。
先生とのコミュニケーションツールは"交換日記"
そして、気になるのは親と学校とのつながりです。
フランスでは、先ほども言いましたが、幼稚園や学校は勉強する場所という認識が非常に強いので、年間プログラムの説明会が持たれる以外は、日本のように運動会などのイベントごとは特にありません。"連絡ノート"を通じて、親とのコミュニケーションを図るのが一般的です。
例えば......幼稚園にお迎えに行った際に、「とても上手にお絵描きをしていましたよ」などと、よかったことや悪かったことなどを含め、その日1日の様子を先生が書き込んでくれます。いわゆる、親と先生の交換日記です。
また、教育放棄をする先生やモンスターペアレントの問題も、フランスにはないようです。平等を重んじる国という一面もありますので、先生と親、顧客と従業員など......どのような立場にあっても、どちらかが弱い立場という認識は薄いようです。
問題があった場合は、とことん話し合うのが基本姿勢。その際も、一方が要求を押し通すということはなく、自分の意見を伝え、そして、相手の意見も聞く。問題解決への糸口は、ディスカッション! それが、フランス人ならではです。
国の強力なバックアップがあるから、親に負担がかからず、子どもが伸び伸びと学べる......それが「エコール・マテルネル」です。
次回は、小学校からの教育システムをクローズアップします。
次回「教育システムの違い」Vol.2は、9/11(火)に配信です。
ペネロペは幼稚園でどのように学んでいるのかな!?
ペネロペは幼稚園で、絵の具を混ぜて絵を描いたり、お外で遊んだり、お誕生日会をしたり楽しいことがいっぱい! 仕掛けを動かして、ペネロペを手伝ってね。
「ペネロペ ようちえんへいく」
アン・グットマン/文 ゲオルグ・ハレンスレーベン/絵 ひがしかずこ/訳
価格:1,575円(税込)
発行:岩崎書店