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ママパパライフ

教育システムの違い Vol.2

Date:2012.09.11

 前回は、保育システムについてお伝えしましたが、今回はその後の教育カリキュラムをクローズアップ。フランス流の受験戦争は、大学進学時に勃発します。


カジュアルに参加するのがフランス流!

 日本と同様に義務教育は6歳からスタート。新学期はサマーバカンス後の9月からはじまり、3学期の週5日制です。日曜日と水曜日に休日を設定している学校がほとんどで、水曜日はおもにスポーツや音楽などの習い事をする子供たちが多いようです。また、初等教育から飛び級や落第制度があり、日本の義務教育よりも厳しい部分があります。


年齢別の教材。キャラクターが登場したり、カラフルな色使いが特徴的。"楽しみながら"学ぶがモットー!

 フランスの学校はほとんどが公立校で、教科書代など以外に授業料は発生しません。なので、義務教育期間に受験をする子どもは少なく、俗に言う"受験戦争"はないに等しいのです。そして、ごくわずかですが私立校があります。そのほとんどはカトリック系。「シャルルド大聖堂」など、カトリックにまつわる世界遺産も多く存在するフランスならではかもしれません。
 私立と聞けばお金がかかりそうなイメージですが、フランスでは国の補助金を受けているので、日本のように高い授業料を払うこともないのが特徴的です。

 小学校をはじめ、中学校、高校も公立に通うのが一般的なフランス。先ほども言いましたが、"受験戦争"はないに等しい。でも、学歴への執着がないわけではありません。


ルーヴル美術館は遠足の定番スポット。岩石に腰掛けて休憩している姿がよく見られます。

 18歳で中等教育後期が終了し、そこで義務教育が終了します。その証として、「Baccalauréat(バカロレア)」が取得でき、その先の高等教育(大学)に進むことができます。

 「バカロレア」とは、大学やグランゼコールの入学資格を得るための統一国家試験のこと。日本でいう大学受験のようなものです。

 フランスの大学は、各校の偏差値にほとんど差がありません。バカロレアを取得すればどこの大学でも入学できるというのが前提なのです。定員数をオーバーした場合のみ、成績や移住地などに応じて入学先の大学が決まったりすることがあるぐらいで、基本的には希望大学に入学することができるのです。

 そして、このバカロレアの合格率は約80%! ほとんどの子どもが大学に入学することができるといっても過言ではありません。日本の大学と違い、入学すること自体は難しくありませんが、大学を卒業して学位を取得することはとても困難なのがフランスの大学なのです。無事に学位を取得する生徒は、入学者の1/4程度と言われているほどです。

 どこで学歴をきにするのかと言いますと......大学ではなく、先ほど登場した聞きなれない「グランゼコール」。この「Grandes Écoles(グランゼコール)」がとても大切なのです。

 どの大学を出たかというのはあまり関係ありませんが......このグランゼコールが鍵を握るのです。むしろ日本よりも学歴を気にすると言っていいほどです。

 「グランゼコール」とは、フランス独自の高等専門教育機関。専門分野においての高度専門職養成機関です。これだけを聞くと、日本の専門学校のようなイメージがありますが、むしろこの「グランゼコール」が東京大学です。

 バカロレアを取得すれば受験資格は誰でも得られるわけですが、進学できるのは取得者の約5%という狭き門!


p class="caption">保育学校の裏の公園は子どもたちの遊び場。子どもは大人の監視下に置かれるため、公園で子どもたちだけで遊ぶという状況はほとんどありません。必ず近くで討論会に花を咲かせている保護者がいます。

出世コースを歩むにはお金も必要!?

 大学と並立して存在している教育機関ではありますが、大学が大衆向けに対して、グランゼコールは技術やビジネス分野の指導者になるエリートを養成するところ。偏差値というものは存在しないので、歴史があればあるほど名門と言われています。そして、教師ひとりに対して生徒は大勢いる、大学の一般的なスタイルではなく、少数精鋭スタイルをとっているのも特徴のひとつ。そのような、厳しい教育スタイルの中で学んでいるからこそ、将来、フランスを代表するひとりとなって活躍できると言えそうです。
 現に、フランスの官僚や政治家、経営者のほとんどが、このグランゼコールの出身者たちなのです。

 バカロレア取得者のうちの約5%しか入学できない名門なので、入学を目指す子どもは遊ぶ時間を削って必死で勉強するのが当たり前。つまり、ここではじめて"受験戦争"が勃発するのです。

 卒業できれば、エリートコースまっしぐら! ですが......入学後、進級できないこともよくあるそうで、その場合は、大学に編入する子どもがほとんど。フランスの受験戦争は、入学後も続くのです。


 最後は学費について。

 フランスはかなり学費がリーズナブル国。高校までは無料、大学は年に数百ユーロがかかる程度。ただし、グランゼコールは高い! 

 なかにはまったくかからないところもあったりしますが......技術系は年間1000ユーロ(約10万円)程度、ビジネススクールは7000ユーロ(約70万)を超えるところもあります。
 
 高いと言ってもそれほどでも......と思いがちですが、家庭の収入に関係なく、平等に教育が受けられるフランスにとっては、この学費問題は重大!

 学力があればグランゼコールに入学できますが、学力があっても金銭的な問題もあるので、グランゼコール受験者のほとんどは裕福な家庭の子どもなのだそう。フランスのエリートコースを歩むには、日本同様に険しい道のりが待っているようですね。



フランスの子どもの遠足の定番スポットはルーヴル美術館!

幼稚園の遠足の定番といえば「ルーヴル美術館」。ペネロペもおじいちゃんと一緒にルーヴル美術館へ出掛けしました。モナ・リザ、スフィンクス、ミイラ、ヴィーナス......たくさんの絵や像があって素敵なところです。ペネロペはまた、いたずらを思いついたみたい!


「ペネロペ ルーヴルびじゅつかんにいく」
アン・グットマン/文 ゲオルグ・ハレンスレーベン/絵 ひがしかずこ/訳
価格:1,995円(税込)
発行:岩崎書店