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ママパパライフ

フランスの習い事と学童 Vol.2

Date:2013.01.08

 前回に引き続き、習い事事情からスタート! 前回も登場した、日本語を習っているナルシスは柔道のプログラムにも通っています。そこで、柔道に行くところに同行させていただきました。 日本では、幼い頃からの習い事をはじめる家庭が増えています。共働きの家庭も増え、学童のシステムも多様化。では、フランスの習い事や学童にはどんな特徴があるのでしょうか!? 日本とは違う一面も見えてきます。



 雑誌者勤務のニコラパパとフリーランスのエディターのジュリーママの家庭で育っているナルシスは、8~18時まで幼稚園に通います。そして、柔道のプログラムがある木曜日は16時20分に、パパかママが幼稚園に迎えに来て習い事に向かうというスタイル。

 ナルシスが通う幼稚園では16時から30分間、おやつの時間があるのですが、木曜日はそのおやつを食べる時間がないため、レッスンへ向かう道中がおやつタイムに! おやつをボリボリ食べる姿がかわいい5歳の男の子です。

 柔道のプログラムは17~18時までの1時間。この時間は、保護者は会場から締め出され、子供たちと先生とで厳しい(!?)指導がスタートします。

 柔道教室には通いはじめたばかりだというナルシスは、とても楽しそうです。帰り道では、「今日はこんなこと習ったんだ~」と道路で受身の取り方を見せかねない勢いでした!


ナルシスが柔道のレッスンを行っているセンター。小さい街であるパリのスポーツセンターは狭い通りのなかにあったりして、規模も小さめです。

 現在、ナルシスは日本語教室と柔道教室に通っていますが、ニコラパパとしては、別のプログラムにも通わせたいという思いがあるそうで、あちこちのプログラムを見学しているところなんだとか。
 日本ではあまりなじみがないジャグリング教室も候補のひとつ。ニコラパパは早速、見学に行ってきたそうですが、年齢での区別がなく、みんながまとめて受講するスタイルのため5歳のナルシスには少し早いと判断したとのこと。
 また、こちらも日本にはなじみがないチェスのクラスにも通わせたかったそうですが、こちらも年齢の壁が......。ちょうど募集があったので参加することにしたそうなのですが、ナルシスと同じ5歳以下の子どもたちが定員数集まらなかったため、結局プログラム自体がなくなってしまったのだとか。チェスは少し難しいので、もう少し年齢が上がってから通わせることにしたそうです。それまでは、ニコラパパがナルシスにチェスを教えるのだとか。早速、自宅でのレッスンをスタートしたそうです。


 ここで女の子の習い事事情も。

 ナルシスの柔道のレッスン中にスポーツセンターのロビーで楽しそうに談笑するふたりを見つけたので、お話を伺ってみることに。

 今回、お話を伺ったのは、ベテランベビーシッターである、ミッシェルとレティシアのふたり。
ミッシェルは、長年パリに住んでいる50代。8歳の女の子のベビーシッター。レティシアも8歳の女の子のベビーシッターで、こちらの家庭には15歳のお姉ちゃんもいるそうです。この日はふたりとも、預かっている8歳の女の子が習っている、ダンスレッスンの待機中でした。

 プログラム内容はジャズダンス。ミッシェルが預かる女の子のレッスンは週1回でジャズのみ。レティシアが預かる女の子はジャズとモダンの2クラスを受けており、週に2回通っているそう。

 女の子のダンスというと、バレエをイメージしがちですが、習っている女の子は意外と少ないそうです。


ピアノプログラムの応募要項。フランスでは市主催のコースが豊富ですが、こういった個人アナウンスなども学校や小児科などでよく見かけます。

 バレエに憧れる女の子は多いそうですが、バレエのプログラムは完全に私立のため金銭的に余裕のある家庭でないとなかなか通わせてあげられないのが現実とのこと。フランスは公共のサービス、市主催のプログラムの質がよく、格安なものも多いので、ダンスであればそうしたプログラムを利用する家庭が多いそうです。

 ミッシェルとレティシアは、「フランス人のダンススキルは、世界的な大会でも優勝することがあるぐらい、すごく優秀なのよ。バレエももちろんステキだけど、将来的にはジャズやヒップホップのダンスでスーパースターになる子供たちが増えてくるかもしれないわよ!」と盛り上がっていました。確かに、最近日本のテレビ番組に出演して話題になっている双子のダンスユニット「LES TWINS」もフランスが生んだダンススター!


まだ教科書がないリディですが、リディのひとつ上のクラスのレッスンノートを見せてもらいました。左は先生から、右は生徒である子どもたちが自ら書き込む欄。

 ナルシスの友達であるリディ(7歳)は、音楽教室に通っているそうです。まだはじめたばかりで、音に慣れて楽しむリトミックというレッスンを受けているところなのだそう。教科書などは特になく、頭と体で覚えるというやり方。ノートに書き込む子どもたちもいましたが、それはノートを持参して、子どもたち自ら率先して行っているそうです。

 リディのレッスンは毎週月曜日。普段は学校が終わった後は学童に残っているそうですが、レッスンがある月曜日はベビーシッターがお迎えに来て音楽教室へ。ナルシスのお家に遊びに来ていたときも、得意顔でナルシスに歌を教えていたのが印象的でした。



 続いてリディも利用している学童について。

 日本の学童システムは、学校の授業終了後から親の仕事が終わるまでの時間を過ごす場所。宿題をしたり、みんなで遊んだりして過ごすのが一般的です。複数の学年の子が利用していて集団生活のような形。市が運営しているものから民間が運営しているものまでがあり、それぞれシステムには多少の違いがあるものの、第2の家庭という位置付けを担っています。

 その点フランスの学童は、幼稚園や小学校と連携しているものが一般的です。小学校の授業が終わると一部の教室やホールが開放され、16時30分~18時まで子供たちを預かってくれ、小学校を卒業する11歳まで利用することが可能です。
 
 フランスの小学校は、6歳~11歳までの5年間。ただ、日本のように学校が終わった後、ひとりで帰宅したり、アメリカのようにスクールバスでの送迎はありません。必ず保護者の迎えが必要です。8時30分から午前中の授業がはじまり、お昼休みをはさんで午後の授業を行います。終わりは16時30分頃。その後、保護者に付き添われて子どもたちは自宅へ帰ります。フルタイムで働く家庭も多いので、ベビーシッターのお迎えで帰る子供たちもいますが、それでも全体の半数くらいは学童に残っているそうです。

 多くの子どもたちが利用している学童ですが、公立学校ならば大学まで授業料は無料のフランスでも、学童は有料。とはいえ、金額は各家庭の収入によって異なり、生活に支障が出ない程度で設定されるので、かなり格安なんだとか。国からのサポートがきちんとしているから、利用している家庭が多いのかもしれません。

 また、水曜日には、「centre de loisir(サントル・ド・ロワジール)」という制度もあります。
 これは水曜日がアクティビティで学校が休みのため、子どもを朝から預かってくれるシステムです。自治体が運営しているのが一般的。


 好きなときに利用することができるのが最大の魅力。そして、バスケやサッカーのプログラムを選択することができたり、課外活動があったりと、各自治体で独自のサービスを行っているのも魅力的です。さらに、給食のようにランチボックスの支給があるので、お弁当を持参しなくてもいいという、働くママには嬉しい一面も。
 この「centre de loisir」も、大きなくくりで捉えると学童の一種と言えるかもしれません。


本屋で売っている歌の教材。ポップな色使いで絵本のような作りです。

 このシステムが利用できる時間は朝の9~18時と決められていますが、フレキシブルなので朝から昼まで預けたり、午後から預けたり、また16時にお迎えに行くといったことができるので、そういった点もママたちから支持されているひとつです。

 フランスの学童は、さまざまな家庭が利用しやすいように設定されているのが特徴的だと感じました。ママたちが働いている間も、子どもたちが伸び伸びと学べる環境というのはとても嬉しいですね。